総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
「うん! もちろん!」
「でも……」
言いよどんだお母さんに変わり、お父さんが口を開いた。
「どうしてよりにもよって西園寺学園なんだ……あそこは男子比が多い上に全寮制なんだぞ……! お父さん、寂しいっ……」
「え、ええっ……泣かないでよお父さん……!」
めそめそと涙を流すお父さんの背中をさすって、苦笑いを浮かべる。
そう。私は明後日から、西園寺学園という高校へ編入し、寮生活を送ることになっている。
「西園寺学園なんて、そりゃあ有名な進学校だが……ここらじゃ有名な暴走族の巣窟らしいじゃないか……!」
「たしかに、俺も姉さんがあの高校に行くのは反対だな……」
お父さんと輝の言葉に、あははと乾いた笑みがこぼれた。
たしかに、お父さんが言うことは間違っていない。
私の通うことになる西園寺学園は、表……つまり公には県内トップの進学校だけど、じつは、いわゆる『不良』と呼ばれる生徒が多いのも事実だ。
裏では、『暴走族の監獄』なんて言われているらしい。