総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
全身の神経を研ぎ澄ませて、気配を探した。
……あ、もういるみたいだ。
複数人の気配を感じて、間に合ってよかったと胸を撫で下ろす。
……さ、急いで片づけて、食堂に向かおう。
薄暗いから、向こうもはっきりと私の姿は見えていないだろう。
できるだけ足音を立てて、“現れた”と気づかせる。
身長でバレないように、木箱のようなものを伝いながら歩いた。
向こうが、こっちに気づいたのが手に取るようにわかる。
隠れているつもりだろうけど、バレバレだ。
目を瞑って、神経を尖らせた。
「……行け、お前ら!!」
その声を合図に、一斉に6人の気配が飛んできた。
目を瞑ったまま、相手が私に近づくのを待つ。
――今だ。
その場にしゃがみ込むと、相手が相打ちをする形でぶつかった。
そして、ダメージを受けているその一瞬の隙に、的確に拳を入れる。
両手両足を使って、まずは4人の急所を突いた。
倒れたのを確認し、残りのふたりに構える。