総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜


「お前、西園寺じゃねーな……! 誰だ……!」

「誰だっていいでしょう?」



 粘っている男を、また一撃で落とした由姫は、あっという間にそいつらを再起不能にしてしまった。

 自分が見ている光景が、現実かわからなくなる。

 今、何が起こった?

 俺が驚いている間に、由姫は奴らの意識がなくなったか確認している。

 確認が終わったのか、こっちへと歩いてきた。

 俺はすぐに気配を消して、近くの机に身を潜める。

 とっとと帰っていくその女の姿は、やっぱり何度見ても由姫だった。


 ……あいつ、ケンカなんかできるのか。


 いや、あれは本物の動きだった。

 いろんな奴とやりあってきたけど、あそこまで的確に、無駄のない動きを見たのは初めてだ。

 たぶん、空手や護身術を習っている奴の動き。

 それに、しても……。



 ――キレイだった。



 戦う由姫の姿が、ただ美しかった。


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