総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜

 まるで舞っているかのように軽々と、隙がないほど俊敏な動き。

 あんな弱そうなのに強いというギャップも、また心惹かれた。

 あいつ……ほんとに、何者だ。

 知れば知るほど、謎だけが深まる。

 只者ではないということだけしか、わからなかった。

 ここにいたのは、偶然か?

 いや……そんなふうには見えなかったし……いったいなんで、ここに来たんだ。

 考えてもわからないなら、本人に聞くしかない。

 今日の放課後に問い詰めてやろう。

 そう思いながら、俺は少しの間その場でぼーっとする。

 さっきの光景が衝撃すぎて、頭が回らなかった。


 ――ブー、ブー。

 スマホが震えて、ゆっくりと画面を確認する。

 “舜”と表示された画面に、一瞬出ようかどうか迷いながらも、受信ボタンを押した。



《生きてるか?》

「……」

《……おい、まさかやられたのか?》

「……」

《っ、今からすぐにそっちへ向かう……!》



 ……なに焦ってんだこいつ。


< 318 / 347 >

この作品をシェア

pagetop