総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜



 あるとしたら……俺に貸しを作る、とかか?

 そうだとしたら、このあと由姫は俺に言ってくるはずだ。

 助けてやった、と。

 俺に恩を売ったことを、報告してくるはず。

 それなら辻褄が合う。

 俺に媚びを売るには……これはいい機会だったのかもしれない。

 そう思うと、やけにやるせない気持ちになった。

 別に……俺ひとりで、こいつらごときどうにでもできたけど。






 その日はそれ以降、ずっと上の空だった。

 家に帰って、何をするでもなくぼーっとする。

 なんか飲むかと思い立ち上がった時、インターホンが鳴った。

 誰だ……?

 不思議に思って玄関を開けると、そこにいたのは由姫だった。


 ――来た。


 たぶん、今日のことを報告しに来たんだろう。



「蓮さん……! 急にすみません!」

「……うん、何?」



 あー、聞きたくない。


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