総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜


 お前は、それを言いに来たんじゃないだろ?

 別に怒ってるわけじゃない。

 むしろ、人間は恩を押しつけて他人に媚びを売る生き物だと思っているから、当然のことだ。

 俺が由姫に変な期待をしてしまっただけで、悪いことじゃない。

 じっと由姫を見つめていると、由姫ははっとした表情に変わった。



「あ、急にすみませんでした……! それじゃあ失礼しますね!」



 ……え?

 話は終わりだとでも言わんばかりに、頭を下げて去ろうとした由姫。



「待て」



 俺はとっさに、その手を掴んだ。



「……他には?」

「え?」

「他に、俺に言うことあるだろ」



 昼休みのこと……言いに来たんじゃないのか?



「な、何もありませんよ……?」



 由姫はきょとんとした顔で答えた。


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