総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
本当に風邪のことを聞きに来たらしく、俺はますます訳がわからなくなる。
どういうことだ。じゃあ昼のはいったいなんだったんだよ。
「ちょっと入れ」
「えっ……れ、蓮さん?」
戸惑っている由姫を、無理やり家の中に入れた。
早足で廊下を進んで、リビングへと連れてくる。
イスに座らせると、由姫は困ったように俺を見た。
「私、入って大丈夫ですか……? 女ですけど……」
俺の心配をしているらしい由姫に、なぜか胸が痛んだ。
なんでお前は、さっきからそんな……俺の心配をしてるんだ。
女なんか……もうとっくに平気になってる。
――お前だけは。
「なあ、昼休み何してた?」
俺の問いに、由姫はあからさまにびくりと肩を跳ねさせた。
「……えっ? ひ、昼休みですか? ……く、クラスの友達と、食堂でごはんを食べてましたっ……!」
……どうして嘘つくんだ、こいつは。