総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜


 でも、だったらなおさらなんであそこに行った?

 俺を助けるようなことをしたのに、言ってこなかった?



「蓮さん、体調がまだよくなっていないみたいだったので、心配になって……代わりに……」

「どうして隠そうとした?」



 俺の言葉に、由姫は平然とした顔で答えた。



「別に私がやりましたとか、わざわざ言う必要はないことかなって……」



 ……っ。


 途端、自分の中にあった……小さな小さな感情が、爆発するような衝撃に襲われた。


 そして、由姫を疑っていた自分が恥ずかしくなった。

 普通の人間なら、自分の利益以外は考えない。

 リスクを冒してまで、他人を助けたりしない。しかも、見返りも何も求めず。

 こいつはたぶん普通じゃない。


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