総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜


 いや……そんなこと、倒れたところを助けられたあの日からわかっていたはずだ。



 由姫は――特別だって。




「……なんなのお前」

 バカじゃないのか……。

 もしお前がやられてたら、どうするんだよ。

 風邪なんかもうとっくに治ってんのに、何人の心配ばっかりしてんだ。

 なんの見返りも求めず、俺と接してくれたのは……由姫が初めてだった。



 こいつが欲しい。



 ――好きだ。



 感じたことのない途轍もない感情が、一気に押し寄せてくる。

 自分の中にこんな気持ちがあったのだと、初めて知った。

 俺は無意識のうちに、由姫に手を伸ばしていた。

 そっと、キレイな頰に手を重ねる。



< 326 / 347 >

この作品をシェア

pagetop