総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
「れ、蓮さん?」
由姫は謝罪の意味がわかっていないのか、それとも抱きしめられたことに戸惑っているのか、首をかしげている。
「……ありがとな」
「え? い、いえ……お礼を言われるようなことはしてないです」
本当にそう思っていそうな声のトーンに、ふっと笑ってしまう。
ただの顔見知りを身を呈して守るバカがどこにいるんだよ。
ほんと……お前くらいだ。
「なぁ……」
あんまり抱きしめていたら怖がられるかもしれないと、そっと体を離す。
視界に映った由姫は、目も見えない分厚いメガネに、若干触ると固い黒い髪をした普通にいたら素通りするような女。
それなのに――かわいく見えて仕方なかった。
目がおかしくなったんじゃないかと、自分でも思う。
でも、もうおかしくてもなんでもいい。
俺はこいつが好きで、愛しくて、かわいくてどうしようもないんだ。