総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
 一口目を噛みしめていると、私は蓮さんがじっとこちらを見ていることに気づいた。

 間抜けな顔を見られた……と恥ずかしくて、視線を下げる。



「れ、蓮さんは食べないんですか?」



 そう聞くと、「あー」と困ったような顔をした蓮さん。



「甘いのは好きじゃないからな。由姫がひとりで食べて」

「えっ、そうだったんですね……!」



 って、コーヒーをブラックで飲んでいる時点で気づくべきか……。

 結局私がひとりで食べることになり申し訳ないな……と思っていると、蓮さんはなぜか楽しそうにふっと笑った。



「お前のうまそうに食べる顔、ずっと見てられるな」

「……っ」



 また、だ……。

 蓮さんのその目は、ずるい。

 優しくて甘くて、変な勘違いをしてしまいそうになるほど。

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