総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
「そんな危ないところに、こんなかわいい由姫を入学させるなんて……!」
お父さんは泣きながら、私を抱きしめてきた。
って、お父さんってばまたかわいいかわいいって……。それは自分の子供だから思うことで、私にかわいさなんてこれっぽっちもない。
ひ弱なわけでもないし、かわいいわけがないのに……。
「心配してくれるのはうれしいけど、私は大丈夫だよ!」
「まあ、お姉ちゃんなら誰にも負けないでしょ」
輝の言葉に、お母さんは頷いてくれたけど、お父さんはまだ不安な様子。
「由姫が強い子なのは十分わかっているが、そうは言ってもなぁ……」
いったい何が不安なんだろう?
私は幼い頃から、お父さんにいわれて空手に柔道、護身術も習っていた。
おかげでお父さん以外に負けたことなんて一度もないし、男の子並みにたくましく育ったと思う。
心配する必要なんてないだろうし、自分の身くらい自分で守れるよっ……。