総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜

 あの人が例の問題児……?

 後ろの空いている席に向かう彼を見ながら、私はなぜか懐かしさを感じた。

 どうしてだろう……初対面のはずなのに……。

 どこかで、会ったことがあるような……誰かに、似てるような……。

 じっと見つめていると、彼が私の視線に気づいたのか、こっちを見た。

 すると、不機嫌そうに目を細め、鋭い瞳に睨まれる。



「あ? なに見てんだよ、お前」



 私の横を通りすぎながら言われ、はっと我に返った。

 つい凝視してしまった……。



「氷高、女相手にそんな威嚇してやるなよ。こいつ編入生で、白咲由姫っていうんだ」



 海くんは、私をかばおうとしてくれたのか横から言ってくれる。

 目つきの悪い彼は、海くんの言葉になぜか驚いた表情を浮かべた。



「しらさき……ゆき……?」



 私の名前を復唱した彼に、首をかしげる。


< 67 / 347 >

この作品をシェア

pagetop