総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
特別な存在
【side拓真】
俺にとって由姫は――たったひとりの、愛しい存在。
いつから好きかなんてわからない。
気づいた時にはもう惹かれていて、完全に心を奪われていた。
基本的に人と関わるのが嫌いで、女なんかとくに無理。
そんな俺が焦がれてやまない唯一が、由姫だった。
幼なじみという立ち位置にあぐらをかいていて、由姫にはいつの間にか恋人ができていたけど……関係ない。
俺はいつだって、奪ってやるつもりだった。
引っこししてから会えなくなって、それでも「いつか戻ってくる」という由姫の言葉を信じて待っていたけど、まさか……同じ学校で、しかも同じクラスになれるなんて。
俺はもう、会ったこともない神という存在に感謝してしまいたいほど、浮かれていた。