総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
「ふんっ、裏口編入がバレないように気をつけろよ」
教科書を見つめている由姫を見て、後ろから双子が笑った。
さっきから、死ぬほどうざい奴らだな。
授業なんて今までまともに受けていなかったから、クラスの奴のこともよく知らないけど……たぶんこいつらは、このクラスの中でも下のほうの学力。
由姫のことを見くびっているんだろうけど、さすがに聞き捨てならない。
「……お前ら、殺されたいか?」
由姫をバカにする奴は、俺が消す。
じっと睨みつけると、ひよったのか気まずそうに目を逸らしたふたり。
しょうもねー奴らだな……ちっ。
「た、拓ちゃん、殺すとか言っちゃダメ!」
由姫が教科書から視線を上げ、俺に向かって言った。
ダメって……言い方、かわいい。
朝から、由姫のせいで表情筋が緩みっぱなしだ。