総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
「うん、ごめん」
「でも、かばってくれてありがとう」
由姫は、うれしそうに笑った。
その笑顔に、心臓がぎゅっと締めつけられる。
メガネのせいで顔は見えないのに……なんでだろう。キレイなんだよな。
由姫のかわいさは、メガネひとつじゃ隠しきれないみたいだ。
担当の男教師が入ってきて、数学の授業が始まった。
俺は適当にノートを広げて、横目で由姫を観察する。
由姫が隣にいるのに、授業どころじゃないな。
あー……幸せ。
「それじゃあ、指名されたら答えるように」
教師のそんな声が聞こえた途端、教室の空気が変わった。
ピリついたというか、緊張が走ったのがわかった。
ああそうか……こいつ、たしか……。
あんまり授業に出席しない俺でも知ってる。
普通に考えて解けないとうな難題を生徒に突きつけて、答えられなければ罰として雑用を手伝わせるという、姑息なことをしている奴だ。