総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
赤くなったり青くなったり忙しない奴だと思いながら、睨みつける。
「た、拓ちゃん落ちついて……!」
由姫は俺を止めたあと、「て、手伝いくらいならするよ!」とそいつに笑顔を向けた。
お人好しも、ここまで来ると考えもんだ。
こんなバカは放っておけばいいのに……。
……けどま、昔から由姫は、困ってる奴は放っておけない奴だったな。
昔から……なんにも変わってない。
俺が好きな、愛しい由姫のままだ。
由姫のおかげで、苛立ちも消えた。……というのに。
「……ちっ」
何が不満なのか、舌打ちをした双子の片割れ。
俺の中の何かがブチっと切れ、勢いよく立ち上がった。