【女の事件】続黒煙のレクイエム
第8話
せっかく家族を連れて大船渡へUターンをしたのに、吉浜さんをボコボコに殴って大ケガを負わせてケーサツに逮捕されたことと、妹さんがくなった事件のことなどがわだかまっていたので、T田さんの気持ちはギスギスしていた。

T田さんが起こした事件については、吉浜さんがケーサツに『ワシが言いすぎたことが原因だったので、起訴しないでくれ…』と言うたので、ケーサツはT田さんをシャクホウとなった。

事件は、T田さんと吉浜さんがあくしゅして仲直りで終わりだから、話にならない。

その日の夜のことであった。

T田さんは、JR大船渡駅の裏手にある居酒屋さんに行って、ひとりぼっちで酒をのんでいた。

そんな時であったが、ちづるが店にやって来てT田さんをなぐさめていた。

T田さんは、ちづるの優しさについ甘えてしまったので、居酒屋さんを出た後、ちづると一緒に大船渡プラザホテルへ行った。

深刻な事件は、深夜11時10分頃に発生した。

T田さんとちづるがふたりで腕を組んで通りを歩いていた時、突然めいこが出刃包丁を持ってふたりの前に現れた。

「めっ、めいこ…」
「やっと見つけたわよ…T田…6ヶ月前のセクハラが原因でアタシは妊娠してしまったのよ!!どうしてくれるのよ!?」
「やめろ!!やめてくれ!!」
「T田!!」
「ワアー、たっ助けてくれ…助けてくれ…命だけは助けてくれ…」

めいこが出刃包丁をふりまわしてT田さんに襲いかかろうとしていたので、T田さんは
恐ろしくなって大通りへ逃げた。

その時に、飲酒運転のドライバーが乗っている乗用車にはねられてしまった。

(キーッ!!ドスーン!!)

こともあろうに、飲酒運転の事故を起こしたドライバーはきよひこだった。

きよひこはT田さんをはねたあと、T田さんを車に乗せた後、陸前高田市との境目の山まで行った。

陸前高田市との境目にある山林にて…

きよひこは、苦しんでいるT田さんを整備に使うスパナで頭を思い切り殴った後に持っていたサバイバルナイフで刺して殺してしまった。

きよひこは、T田さんを殺して遺体をズタズタに損傷させて、遺体を埋めて車で山を降りようとしていたが、飲酒運転がバレたらこわいので、車を大破させた。

翌朝のことであった。

ところ変わって、仙台市内のマンスリーアパートにて…

ピンク色のブラジャー・ショーツ姿のアタシは、缶ビールをのみながらGyaO(ギャオ・スマホの動画配信サイト)で配信されている韓流ドラマを見ていた。

そんな時に、アタシのスマホにきよひこの実家の義姉から電話がかかってきた。

「(不機嫌な声で)もしもし…何よあんたは一体…きよひこ…きよひこのことなんか知らへんねん!!アタシはとっくにきよひことは離婚をしたのよ!!なのにどーしてアタシのスマホに電話をかけてくんのよ!!はぐいたらしい(イラつく)わねあんたは!!あのね!!アタシはあんたらの家にはコンリンザイ戻ってきやへんけん!!あんたらの家とは仲直りせえへんけん!!分かってはるのかしら!!分かってへんのはあんたの方でしょうが!!宇宙飛行士の仕事で成功したからと言うて調子にのるんじゃないわよ!!ドアホ!!」

(ガチャーン!!)

スマホをテーブルの上に置いたアタシは、のみかけの缶ビールをごくごくとのみほした後、キーッ!!となって右手で髪の毛を思い切りかきむしっていた。

髪の毛を思い切りかきむしった後、アタシはピンク色のブラジャーを思い切り引きちぎって、ふとんの上でバタバタと暴れていたが、むなしくなって泣いた。

何なのよ一体…

きよひこは何を考えとんかしら…

めいこが妊娠していたことについて、てっきりきよひこがめいこを妊娠させていたとばかり思ってはったら…

T田のセクハラが原因だったとは…

何なのよ一体もう!!

もうだめ!!

きよひこときよひこの親きょうだいと親族たちはこらえへんけん!!

アタシの中に蓄積されていた怒りが一気に高まっていたけん、落ち着いて物事を考えることができなくなっていた。
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