君の隣にいるのはずっと私だと思ってた
「朱夏、お前のことを嫌いになったかどうかは置いといて、お前のやったことは最低だ。お前のせいで香菜は傷ついた。それでも香菜は優しいからお前のこと許すどころか、庇いまでもした。だから、お前だって香菜にすることがあるだろ?」
「……ごめんなさい」
朱夏が謝ると尚は少しだけ表情を綻ばせ、「いい子、いい子」と彼女の頭を撫でる。
好きな人にこんなことをされたのだから、朱夏の顔は赤くなる。そんなのお構い無しに尚は撫でてくる。
一通り撫でて満足したのか、尚は朱夏の頭から手を離す。それを少し残念に思ってしまう。
そんな朱夏の様子を気にしないで、彼は香菜の方を向いてしまう。
朱夏と尚のやり取りを見ていた香菜は、少し悲しそうにしていた表情を優しげな微笑みを浮かべる。それに尚も微笑み返す。
これが恋人というものなのか、と思い朱夏は泣きそうになる。