世界の終わりと目覚め
ギボンの臭いが強い
清めのために炊いているのだろうか?
ゴゴゴーと地が揺れる
シギは窓にかけよる
変わらない風景がひろがる
キラキラと水色に輝く城をとりまく水
遠くには町が並ぶ
ゴボゴボと水面が揺れた
なんだ?
シギは浮遊で水面の近くまで降りたつ
ゴボゴボ泡がひどくなりザザーとしぶきいや炎が吹き出た……
それと同時に城の中から人が飛び出てくる
「なにが起きたのですか?」
「闇の化物が……」
シギは燃え盛る城の中にかけこむ
【ナイトメア】から巨大な影がのびそこにはマントをつけた人が立っている
塔はくずれおちている
その後ろから水が攻めてくる
無理だ抑え込めない……
 
「シギ、起きろ!」
耳元でどなられ飛びおきる
「よくこんなとこで寝れるよ兄様。」
ナイトメアの先端の石に持たれて寝ていたらしい
先端は見晴らし台のようにはなっているが柵などないどころから座るのもやっとだ
「リィン、兄様戻ってきてください、僕だけでは手に終えません。」
「キャーたいへんヤン潰れる。」
何事かあわてて降りると柱に苦戦する弟がいた
「積みすぎだよ、支えにするからってムチャするから。」
「父様がいらっしゃらない間は僕が修正しないと。」
「だからってムチャしない。僕が……」
「シギに手伝って貰うならホセ様に頼むよ。」
もとから弟とはうまくいっていない
いつでも自分が真実だといいはるシギがバグヤンは大嫌いなのだ
シギは先程の夢を考えた
ホワイトピジョンが崩壊する
これはさすがに口にはできない……魔術でも守られ守龍のいる王宮が崩壊するということは他の町にも被害はいくだろう
父に伝えるにも王妃が住む宮は蔦の塀で閉ざされている
あの蔓は白の魔術師どころか守龍でさえとけないという
「またなんか偉そうに言うき?それとも僕をののしりたい?」
王妃を怒らせたのはバグヤンだという噂がたっているのだ
「ヤン、集中しないと潰れる。ああどうしよう。」
バグリィンは頭を抱えている
「またムチャしてるな小坊主。」
いつのまにかホセが立っていた
懐からは小さな金色の鳥が顔をのぞかしている
「紋様作りの研究についにティの子供さらってきたの?」
「さらってきたんじゃない。奥方のために貰ってきたんだ。」
シギの無礼な言葉にホセもさすがに腹を立て声を荒げる
「すまん、すぐ助けてやるからな。うせろお前はじゃまだ。」
とつぜん、ティの子供が羽ばたいた
その瞬間、シギは塔の外に投出された
……ティがあの男に?…ちがう奪ったんだ
弟も育ての父もあの男に騙されているんだ
中からは激しい音がする
誰かに知らせなきゃ
シギは走って近くの『ヒグラの塔』に飛び込んだ
塔で御参りしていた赤毛の青年が驚いて振り向く
「マーズ様、おじゃましてもうしわけございません。緊急事態なんですティの子供を盗んだ悪魔に弟達が……」
「シギ、そなたこそ闇落ちしたのではないか?」
「……してません。僕は真実をつげ……」
「落ちつきなさい。ここはリィー様のお近くそんな憎悪に満ちた炎で汚しては行けません。外にでましょう。」
ピシャリと言われおとなしく外にでた
「ティの子供を盗むと言うことはどういうことかあなたはわかっていますか?」
庭園の木の根に息をきらせながら座りこんだシギにマーズは落ちついた声できいた。
「大罪です。リィー様に近い者の子をさらったことに……」
自分の間違えにシギは気づいた
『セントクリスタル』、原始の一族しか入れない聖なる場所に闇付きの者は入れない
あの雛は羽ばたいてはいたがまだ長い尾羽がなかった……まだ中で親や一族に守られて育っている時期のはずだ
ホセは盗んでいない……
「預言者なら予知夢だけにとらわれず、人の真の心も見つめ信じなさい。王宮は今、気がにごっています。」
シギには見えない大気の動きがマーズには見えるのだろう
予知夢は出来るが気を読むことはシギはできない
それは血のせいだとシギは決めつけていた
「ごめいわくおかけしてすいませんでした。」
駆け寄ってきたウルルを抱えシギはそこを後にした





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