世界の終わりと目覚め
もう一度学びなおせば王宮を救える
シギはそう思いたち産まれた故郷の『マホロボの谷』へ向かった
しかしそこにはかつては美しく輝いていた館の姿はなかった 
水と蔦で自然に出来ていたカーテンはなくなり、水はチョロチョロと石のすき間を落ちていた
誰もいない……滅びた?
強い力を守り続けた正統な血をひく一族が……
いっしゅんそう思ったが、『鏡の泉』につき人を見つけた
「帰りなさい。あなたはここに来てはいけません。」
母と同じ銀色に青みがかかった髪の女性が言った
「帰っても僕は役には立ちません。僕の預言を誰も信じない……」
「災いを救うことも私達の役目です。あなたは王宮を災いから守りなさい。」
ビリビリと空気が震え
見えない壁で前にすすめなくなった
シギにできたことは一族が守ってきた水を汲むことだけだった。

王宮に戻り自室に戻るとシギはそのまま眠りに落ちた
激しい炎……『憎悪…』マーズの言葉がよこぎった
……僕も闇落ちするんだろうか?
ふと恐ろしい予感が胸をよこぎった
息苦しくなり目が覚めると
城の中が騒がしくなっていた
「兄上、何とかくいとめるんだ!」
第二王子の声だ
入口から見える廊下を見知った魔術師達が走っていく
「サイさん何が起きたんですか?」
「災いです、ついに……ああ私にとめれるだろうか。」
いつも穏やかななサイの声がうわずっている
まさか…窓から見る景色は変わらないが城の中はあわただしい
サイとともに中庭にでると『ナイトメア』が炎に包まれ他の塔もあちこち崩れていた
「リィン、ヤン!」
塔の中に駆け込むと赤い蔦の様なものから黒い煙があがっていた
そして弟達を抱えたホセの姿があった
全身から赤と銀色の光がでている
「ヤッパリあんたは悪魔だったんだ。」
シギはさけび
今まで使ったことのなかった攻撃の力をホセにぶつけた
赤い蔦が溶けた
「なんてことを……外にでなさい。」
我に返った時にいつのまにかバグニャがそこに立っていた
そしてそれが、バグニャをみた最後の瞬間になった
「早く出てください、あなたはじゃまです。」
王付きの魔術師、ラルに強制的に城の外までだされた

それから、シギはただ一人の預言者になった
守り人は闇落ちした……それはしばらくの間、噂になった
やがて『ウニバルゾ』をゆらす第一の事件が起きた。
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