世界の終わりと目覚め

チカチカと光る線が交差している
四角い画面には文字がはしる
そのひとつに目を向けると拡大される
彼は呪文のような文字を小声で読み上げる
ビイイイ！
けたたましい音で現実の世界に戻された
青い天井ごしに見えるギラギラと点滅するランプ
「リュウヤさんお目覚めですか？」
また何日か寝ていたようだ
カプセルにロックをかけてしまうので少年リクに心配をかけてしまう
「そのうちミイラになっちゃいますよ。しっかり食べてください、ペーストにしましたから。」
警報がなったのに少年は冷静だ
リュウヤには不思議な力がある
キーボードやら線やらなくてもコンピューターにアクセスが出来るのだ
内部の仕組みから中のデータまで
機材がゴタゴタとある部屋にいるのは上の連中に知られないためだ
最近、館内でおこるトラブルの大半にリュウヤが関わっていると目をつけられ監視がひどくなっている
カプセルからでると耳障りな音がする
ヘッドホンをすぐにつける
「ありがとう、リク。またトラブルかい？」
「また監禁施設のトラブルらしいですね。」
壁をうめつくす画面の前に座っていた男がそう答える
拡大した画面には薄暗い廊下が写し出されている
「シオンのやつきづいたなあれに……」
男の名前はルカと言う
彼はたまにブツブツ一人ごとをいう
「また他のシティーを襲ったのですね。シティーは無事ですかね？」
「今回はさらってきただけのようだ。『キマイラ』はこの前の破壊されたからね。」
思わず答えてしまった
「リュウヤさん…寝てたのによくわかりますね。キマイラが破壊されたって。」
ルカに言われる
「いや予測だよ。これはなんだい？」
「こないだ来た謎の人が置いていったやつです。リュウヤさん新鮮な果物が食べたいとおっしゃていたので…お口にあいませんか？」
「いや目覚めにはいい。謎の人て頭に金色の羽を必ずつけてないかい？」
ルカがなにか聞きたそうだったので話をそらす。
「頭じゃないけど腕につけてて、変わった形のペンダントしてましたよ。」
『風の民』が来たのか……
シティーをかける自由な一族で密偵も多いう
眠りに入る前に一族の一人だというペスという少年が訪ねて来た
彼に隠していたコンピューターの内部が見える話をしたような気がする……その前に激しい拷問にあったので記憶があやふやだ。
留守の間にまた訪ねて来たようだ
怪しい人物、危害を加える人物はルカが追い払うがペスとは人と話さない彼がめずらしく楽しげに話していたのはぼんやりしたなかでも覚えている
「その果実はリュウヤさんの体を回復させてくれると思いますよ……」
「味は悪くないが喉があつくなる。」
「……汚れをはらうには……」
「汚れ？」
「あっ……そのうちまたあいつらがきたらお話します。リュウヤさん会話に気をつけてください盗聴がひどくなってます。」
話をそらされた
ルカは昔から一緒にいたジュリが居なくなってから来た少年だ
おしゃべりで明るいジュリとは間逆なタイプで冷静で静かな少年だ
……ジュリが逃走してモルモットが大量に逃げて……
眠る前のいやな記憶を思い出しリュウヤは顔をしかめた
「これを飲んでカプセルではなくベッドで休んでください。」
リクが薬を渡してベッドを強調した。