君に恋するのは危なすぎる
「...........詩乃!......詩乃!起きなさい!」
いっ......た.....っ
嘘、わたしなんでここに......
「......ったくあんたって子は本当にダメダメね」
...お母....さんだ.....
床に倒れるわたしを見て、
呆れるようにため息を付く。
「......あんたもしかして、
学校行ってないなんて言わないわよね?」
「......あっ...お母さんごめんな「パシンッ!!」
わたしの主張は勢いよく叩かれたビンタの音で
かき消される。
......い......た........っ...
痛い、痛いはずなのに
広がった傷口を何度も傷つけられる度に
感覚が麻痺している。
「......ごめん......ごめんな......さ...い......」
「......本当あんたなんか産まなければよかった」
お母さんは、冷たい目をしてわたしにそう言う。
......ごめんなさ......いっ......
わたしが何にも取り柄がなくて......
こんなだから......っ
お母さんはわたしを見て、
「もう、いっその事死んじゃえば?」
そうとでも言いたげな顔をしている。
わたしなんか
やっぱり生きていない方がいいの?
カチャン......
わたしの前に置かれたのは、
ナイフーーーーー
......あ......まただ。
昨日と同じだ。
昨日は、結局飛びかかってきたお母さんを
遮った左手首が切れて......
左手首に巻かれた包帯を見て、
こんな時に思い出してはいけない彼を思い出す。
わたし、もうあの人に会えないの......?
......お礼くらいしたかったのに......
......っ!!!
痛っ......!!!!!!!
「あんたなんか......あんたなん......か!」
勢いよく振りかぶったナイフを
わたしは反射的に避ける。
お母さんはもう、
わたしの知っているお母さんではない。
どうして......どうして......
本当はもっと暖かくて優しくて......
あの人のような......っ
彼の顔が脳にいっぱい浮かんだ瞬間、
お母さんが、
私をめがけて一目散にナイフを振りかざした。
やっぱりわたし、
まだ......死にたくない......っ
......助けてっ......