外国人と結婚します！
「お待たせ〜！オレキエッテだよ〜！」

フランチェスコさんがパスタの入ったお皿を二つ持って来る。

「ありがとうございます」

「ありがとうございます〜！！」

フランチェスコさんがやって来ると、瑠奈ちゃんはいつもの顔に戻る。まるで魔法にかかったみたいで、女性って恐ろしいなって自分も女性なのに思った。



瑠奈ちゃんがアルバイトで来る日は、ドッといつもより疲れてしまう。でも愚痴なんてアレッサンドロさんには言えない。だって、もしも話したら瑠奈ちゃんの悪口を言うことになってしまう。それは嫌だ。

「お疲れ様で〜す。桜さん、彼氏さんと仲良くしてくださいね〜」

一言余計なことを言って、瑠奈ちゃんは帰って行った。私はため息をつきたいのを堪える。

今日は夕方にしては、お客さんが少ない。いつもなら学校帰りの高校生たちや近所のおばさま方がお茶をしに来たりするのに……。

「桜。今日はもう人が少ないし、君も帰ってもらっていいよ」

フランチェスコさんにそう言われ、「わかりました」と言い私はエプロンを脱いできれいに畳む。
< 9 / 24 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop