もしかしたら君が、愛をくれたりして。

「もー、あーちゃんったら」



「ご、ごめん……」



あたしが謝ると春太は、にかっと笑顔になった。



「ま、いいか! でも、お仕置きはあるからね!」



「お仕置き?」



「ぜーったい受けなきゃダメだよ?」



いたずらっぽい笑顔を崩すことなく、春太は喋り続ける。



「え!? お仕置きってどんな?」



「それは言わないよ。ただ、これだけは言っておこうかな」



いたずらっぽく笑うのをやめて、春太は、



「朱莉を傷つけたり、痛がるようなことは、しない」



と真剣な顔で言った。



「あっ……。うん」



別にこんなことでそんな顔しなくてもいいのに。
それに、そんな真面目な顔で『朱莉』って呼び捨てにされると。


ギャップがありすぎて、言葉を失うじゃない。何度もこうやってにこりとも笑わないで呼び捨てにされたことはあるけれど、どうしても慣れないんだよ?




< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop