あなたと・・
目覚め
蒼が入院して14日目に
蒼は、目を覚ました。
丁度、塁と二人で病室にいた時だった。
塁が、蒼に
あのね・・・とか
これがね・・・とか
話している時に
「ママっ?ママ?」
「どうした?」
「ん?社長、ママの手が動いた。」
「呼ぶんだ、塁。」
「ママっ、ママっ、」
「蒼っ、蒼っ」
何度も二人で声をかける
蒼の瞼がピクピクと痙攣して
少し開いては・・閉じる
それを繰り返すと
蒼の目が開き、真上を見て
パチパチと繰り返し
蒼の顔が横に動き・・・・
塁をとらえると
みる・・みる・・内に・・
蒼の瞳に涙がたまり、流れ出す
「・・・・‥‥‥‥‥る‥‥いっ‥‥‥‥」
「ママっ、」
浩介は、すぐに足立を呼んだ。
< コンコン >
と、音と共に
足立と師長が入ってきた
塁の頭を撫でていた蒼が
「いゃーっ」
と、ガタガタとふるえながら
布団をかぶる
「悪い。足立
一度でてくれないか?」
「わかった。落ち着いたら
呼んでくれ。」
「ああ、わかった。すまないな。」
と、言うと足立が師長と出ていった。
俺は、
「蒼。誰もいなくなった。
塁と俺だけだ。
大丈夫か?俺は、怖くないか?」
と、言う俺に
「・・・・すみ・・ません・・・
しゃ・・ちょう・・・は・・なぜ・・か
だい・・じょうぶ・・・で・・す・・」
と、ふるえながら言う蒼
「そうか、わかった。
俺は、勝手に蒼と呼ばせてもらってる」
と、言うと
今更と思ったのか
蒼は、驚いた顔をして
「はい‥‥‥大丈夫です‥‥‥。」
と、言う。
「蒼、ここはわかるな?」
と、訊ねると頷くから
「なぜかも、わかるな?」
の問いにもコクンと
「ここは、俺の友人が院長を
やっている病院で
さっききた医師がそうだ。
足立といって、内科医だ。
蒼を、足立と外科の須藤医師が
治療にあたっている。
治療に関する事は
医師から聞いた方がいいから後で。
蒼は、14日間目を覚まさなかった。
その間、塁は幼稚園を休ませて
昼間は、俺がやっている
ボディーガード養成学校に行き
夜は、俺と暮らしている。
楽しいよな。」
と、塁に言うと
「うん、社長もりょうちゃんも好き
社長のご飯美味しいよ
一緒に風呂に入って
一緒に 寝るの、ね。」
「中々、楽しいんだ。」
と、言うと
蒼は、嬉しそうにしながら
「‥‥りょう‥‥ちゃん‥‥て?」
「また、説明するが
話しづらいだろ?
水分のことを含めて
足立と話す必要があると思うから
いいか?」
と、訊くと
蒼は、かろうじて頷いた。
塁は、蒼の手をつかんでいた。
俺は、その姿を見ながら
ナースコールをもう一度鳴らした。