海の景色が変わる頃には…
「分かった…分かったから…どの道一旦冷静になった方がいいよ…ね?」
由香にそう言われてお弁当を開いたけど食べる気なんて全くしない。他の子達の笑い声が遠くに聞こえる。
凌は今、何をしてるんだろう…
やっぱり何も言えないまま放課後になってしまっていた。そして相変わらず凌は生徒会の集まりに行った。
由香の言う通りこのまま帰ろうかと思ったけどやっぱり凌の口からちゃんと「浮気なんてしてない」って聞くのが一番だと思った。
生徒会室に行く間、不安で不安で仕方なかった。もし由香が先輩から聞いたことが本当だとしたらと思うと心臓がバクバクして手が震えた。
意を決して生徒会室のドアをノックすると「はーい」と女の人の声がしてすぐにドアが開いた。
「あ…あのっ!!玉置く……」
「凛?」
私の声を聞いてすぐに凌が出てきた。
「どうしたの?」
凌が私の顔を覗きこんで優しく問いかけた。
「やっぱりいつもの凌だ…」
少し安心したけどやっぱりちゃんと凌の口から否定して欲しい。
「凌、今忙しい?」
「うーん…いや、大丈夫だけどどうしたの?」
「30分くらい大丈夫かな?話したいことがあって…」
「30分かぁ…先輩に聞いてくるよ!ちょっと待ってて!」
そう言って凌は生徒会室のドアを閉めた。
生徒会室の前の窓からはさっき由香と話した中庭が見えて放課後の静かな廊下には吹奏楽部が練習する音が響いていた。
「ごめん!あんまり時間取れないけど少しなら大丈夫だよ。…ここでいい?」
凌は笑顔で生徒会室から出てきた。
「うん。大丈夫だよ。ごめんね。」
「で…どうしたの?」
「あ…あのね、聞きたい事があるんだけど…あっ!でもね、間違ってたら本当にごめんね?」
「え?うん。何?」
「生徒会ってさ…毎日あってるんだよね?」
「うん。そうだよ?だから凛と一緒に帰れないんじゃん。」
「あ…!そうだよね?…この前さぁ、生徒会長と
偶然会って……生徒会無いって聞いたからさ…!」
そう言いながら私が凌の方を見ると凌の顔が一瞬固まったように見えた。
「あれ?言ってなかったっけ?ごめんね。凛もう帰っちゃったと思ったから…」
凌はそう言うといつものように優しく笑った。
「あ…そうなんだ…」
「最初から生徒会無いって分かってれば凛と一緒にかえれたのに…ね?」
そう言いながら凌がいつものように頭を撫でようとしたけど無意識のうちに私は凌の手を払っていた。
「え?何?…どうした?…もしかして言わなかった事怒ってる?本当にごめ……」
「そんなんじゃない!!」
凌の言葉を遮った私の声は震えていて今にも泣きそうだった。
「凌は他の女の子にの頭も平気でこうやって触るの!?何で女の子と手を繋いでたの!?
何で…何で女の子と家にいるのに生徒会室って嘘ついたの!?」
私は無我夢中で今まで抱えていた事を全部ぶちまけた。
「えっ?何言ってんの?」
「もう隠さなくていいよ!私全部見たんだから!!」
堪えてた涙が溢れ出し私の視界は一気にぼやけた。
「凛、あれ見ちゃったんだね…」
凌はうつむいて答えた。
「どうして嘘ついたの?やっぱりあの女の子と…」
「待って!凛誤解してる!俺の話聞いて?」
凌は妙に落ち着いていた。
「あの日は急に生徒会無いって言われて帰ろうとしたら女の子から相談したい事があるって言われて…
俺はその場で聞こうと思ったんだけどその子泣いちゃってて…その場じゃ話せそうになかったから落ち着かせるために家に連れて帰ったんだ。凛に言おうかどうか迷ったんだけど凛を不安にさせたくなくて…」
「凌は…泣いてる子がいたら誰でも家にあげちゃうの?手も繋ぐ必要ある?」
凌の言葉を私は信じる事が出来なかった。
「凛は俺の事信じてくれないの?」
そう言うと凌はまっすぐ私を見た。
でもその目の奥はどこか冷たいような気がした。
「ごめん…ちょっと考えさせて…」
今は凌の顔は見たくない。
そう思った私はそのままその場を後にした。
「凛!ちょっと…!凛ってば!!」
何も考えられずにボーって歩いていた私は何度か呼ばれるまでその声に気が付かなかった。
「あっ…由香…」
由香の顔を見た私はホッとして由香に抱き付いて泣いた。由香は何も聞かずに家まで来てくれて私が落ち着くまで側にいてくれた。
「…落ち着いた?」
「うん…ありがとう」
「凌くんと話したの?」
「うん…私もう誰を信じたらいいのか…」
「凌くんは凛に何て言ったの?」
私は凌に言われた事をそのまま話した。
「そっか…。実はね、あの話まだ続きがあるの。
これ聞いたらもっと悩んじゃうかもしれないけど聞いて欲しいんだ…」
由香はそう言うとまっすぐ私を見て話を続けた。
「先輩が凌くんに告ったって言ったよね?でね、凌くんが言う『彼女』が凛の事か聞いたら、『まぁ別に誰でもいいけど。凛が彼女って事でいいよ。脈ありそうだったから少し優しくして告ったらOKしてさ。
あいつもちょろいよなー』って言われたらしいの。
凛を余計に悩ますような事言ってごめんね。
でもこの事実はちゃんと知って欲しかったし、これを知った上で凛に考えて欲しいの。これ以上親友が傷つくのを見たくないから…」
「……。」
「私が伝えたい事は全部伝えたから、もう一度ゆっくり考えなね?」
由香が帰った後ベッドにうつ伏せになっていつの間にかそのまま眠ってしまっていた。
その日の夜凌からLIMEが届いていた。
『【玉置凌】
俺、凛の事信じて待ってるから。
また学校でね』
それから1週間
私は学校を休んだ。
2、3日は凌の事で頭がいっぱいで何も考えられなった。でも日が経つにつれて悩んでる事に疲れた私はいつの間にか自分を客観視していた。
考えてみれば、私が見た2人は
明らかに楽しそうに笑っていた。
なんだ…簡単な事じゃん…
付き合う事に何の意味も感じなくなった私は凌に別れを告げるLIMEを送った。
由香にそう言われてお弁当を開いたけど食べる気なんて全くしない。他の子達の笑い声が遠くに聞こえる。
凌は今、何をしてるんだろう…
やっぱり何も言えないまま放課後になってしまっていた。そして相変わらず凌は生徒会の集まりに行った。
由香の言う通りこのまま帰ろうかと思ったけどやっぱり凌の口からちゃんと「浮気なんてしてない」って聞くのが一番だと思った。
生徒会室に行く間、不安で不安で仕方なかった。もし由香が先輩から聞いたことが本当だとしたらと思うと心臓がバクバクして手が震えた。
意を決して生徒会室のドアをノックすると「はーい」と女の人の声がしてすぐにドアが開いた。
「あ…あのっ!!玉置く……」
「凛?」
私の声を聞いてすぐに凌が出てきた。
「どうしたの?」
凌が私の顔を覗きこんで優しく問いかけた。
「やっぱりいつもの凌だ…」
少し安心したけどやっぱりちゃんと凌の口から否定して欲しい。
「凌、今忙しい?」
「うーん…いや、大丈夫だけどどうしたの?」
「30分くらい大丈夫かな?話したいことがあって…」
「30分かぁ…先輩に聞いてくるよ!ちょっと待ってて!」
そう言って凌は生徒会室のドアを閉めた。
生徒会室の前の窓からはさっき由香と話した中庭が見えて放課後の静かな廊下には吹奏楽部が練習する音が響いていた。
「ごめん!あんまり時間取れないけど少しなら大丈夫だよ。…ここでいい?」
凌は笑顔で生徒会室から出てきた。
「うん。大丈夫だよ。ごめんね。」
「で…どうしたの?」
「あ…あのね、聞きたい事があるんだけど…あっ!でもね、間違ってたら本当にごめんね?」
「え?うん。何?」
「生徒会ってさ…毎日あってるんだよね?」
「うん。そうだよ?だから凛と一緒に帰れないんじゃん。」
「あ…!そうだよね?…この前さぁ、生徒会長と
偶然会って……生徒会無いって聞いたからさ…!」
そう言いながら私が凌の方を見ると凌の顔が一瞬固まったように見えた。
「あれ?言ってなかったっけ?ごめんね。凛もう帰っちゃったと思ったから…」
凌はそう言うといつものように優しく笑った。
「あ…そうなんだ…」
「最初から生徒会無いって分かってれば凛と一緒にかえれたのに…ね?」
そう言いながら凌がいつものように頭を撫でようとしたけど無意識のうちに私は凌の手を払っていた。
「え?何?…どうした?…もしかして言わなかった事怒ってる?本当にごめ……」
「そんなんじゃない!!」
凌の言葉を遮った私の声は震えていて今にも泣きそうだった。
「凌は他の女の子にの頭も平気でこうやって触るの!?何で女の子と手を繋いでたの!?
何で…何で女の子と家にいるのに生徒会室って嘘ついたの!?」
私は無我夢中で今まで抱えていた事を全部ぶちまけた。
「えっ?何言ってんの?」
「もう隠さなくていいよ!私全部見たんだから!!」
堪えてた涙が溢れ出し私の視界は一気にぼやけた。
「凛、あれ見ちゃったんだね…」
凌はうつむいて答えた。
「どうして嘘ついたの?やっぱりあの女の子と…」
「待って!凛誤解してる!俺の話聞いて?」
凌は妙に落ち着いていた。
「あの日は急に生徒会無いって言われて帰ろうとしたら女の子から相談したい事があるって言われて…
俺はその場で聞こうと思ったんだけどその子泣いちゃってて…その場じゃ話せそうになかったから落ち着かせるために家に連れて帰ったんだ。凛に言おうかどうか迷ったんだけど凛を不安にさせたくなくて…」
「凌は…泣いてる子がいたら誰でも家にあげちゃうの?手も繋ぐ必要ある?」
凌の言葉を私は信じる事が出来なかった。
「凛は俺の事信じてくれないの?」
そう言うと凌はまっすぐ私を見た。
でもその目の奥はどこか冷たいような気がした。
「ごめん…ちょっと考えさせて…」
今は凌の顔は見たくない。
そう思った私はそのままその場を後にした。
「凛!ちょっと…!凛ってば!!」
何も考えられずにボーって歩いていた私は何度か呼ばれるまでその声に気が付かなかった。
「あっ…由香…」
由香の顔を見た私はホッとして由香に抱き付いて泣いた。由香は何も聞かずに家まで来てくれて私が落ち着くまで側にいてくれた。
「…落ち着いた?」
「うん…ありがとう」
「凌くんと話したの?」
「うん…私もう誰を信じたらいいのか…」
「凌くんは凛に何て言ったの?」
私は凌に言われた事をそのまま話した。
「そっか…。実はね、あの話まだ続きがあるの。
これ聞いたらもっと悩んじゃうかもしれないけど聞いて欲しいんだ…」
由香はそう言うとまっすぐ私を見て話を続けた。
「先輩が凌くんに告ったって言ったよね?でね、凌くんが言う『彼女』が凛の事か聞いたら、『まぁ別に誰でもいいけど。凛が彼女って事でいいよ。脈ありそうだったから少し優しくして告ったらOKしてさ。
あいつもちょろいよなー』って言われたらしいの。
凛を余計に悩ますような事言ってごめんね。
でもこの事実はちゃんと知って欲しかったし、これを知った上で凛に考えて欲しいの。これ以上親友が傷つくのを見たくないから…」
「……。」
「私が伝えたい事は全部伝えたから、もう一度ゆっくり考えなね?」
由香が帰った後ベッドにうつ伏せになっていつの間にかそのまま眠ってしまっていた。
その日の夜凌からLIMEが届いていた。
『【玉置凌】
俺、凛の事信じて待ってるから。
また学校でね』
それから1週間
私は学校を休んだ。
2、3日は凌の事で頭がいっぱいで何も考えられなった。でも日が経つにつれて悩んでる事に疲れた私はいつの間にか自分を客観視していた。
考えてみれば、私が見た2人は
明らかに楽しそうに笑っていた。
なんだ…簡単な事じゃん…
付き合う事に何の意味も感じなくなった私は凌に別れを告げるLIMEを送った。