海の景色が変わる頃には…
―…
海を見ながら、何で凌とあの女子にここまでされないといけないんだろうと考えたけどやっぱり分からなかった。
キキーッ!!
自転車の急ブレーキの音がした。
びっくりして振り返ると自転車に跨った高橋がいた。
「あーっ!サボり発見!」
そう言って高橋は意地悪そうな顔でニカっと笑った。
「げっ!」
反射的に言葉が出てしまった。
「何で高橋がここにいんの!?」
「げって何だよ!サボり魔ー!」
もう学校も終わった時間だし帰ろうと思い、「サボりじゃないし!」と言いながら流木から立ち上がった。
「え!?なんて!?」
そう言いながら高橋が私に近づく。
「だから、
サボりじゃないって言ってんの!」
「なーんだ!元気そうじゃん!
良かった!安心したよー」
そう言って高橋が私の顔を覗きこんだ。
「…何かあった?」
「何も無いよ!」
私は涙が出そうなのがバレないように高橋に背を向けた。
「…ならいいんだけど!」
高橋はそう言うと私が座っていた流木をポンポンと叩いた。
「時間あるんだろ?座ったら?」
「はぁー!?その木私のだし!」
私がそう言うと高橋は「ははは」と笑いながらまた流木をポンポンと叩いた。
「いつもここ来るの?」
私が座ると高橋が私に聞いた。
「暇なときにねー。てか何で高橋はここ知ってんの?」
「いやいや、ここは俺の場所ー!」
「はぁ?意味分かんないんだけど!」
「俺、昔ここで遊んだんだよ。思い出の場所?だから俺のが先ー。」
高橋は砂の山を作りながら笑った。
「昔っていつ?」
「んー…小学2年くらいの時?髪が長くて白いワンピース着てる子と2日間ここで遊んだんだよ。」
高橋は砂の山にトンネルを掘りながらそう言った。
2年生…
2日間…
白いワンピース…
……高橋健太…!?
「ねぇ、その女の子って赤いリボンがついてる麦わら帽子かぶってなかった!?」
「だよー。…は!?何で知ってんの!?」
高橋は驚いた様子でこっちを見た。
「たぶんねー…それ、私だよ!」
ニヤニヤして私が言うと高橋はキョトンとした。
「確か一緒に砂の山、作ったよね?私の事りーって呼んでなかった?」
「確か一緒に砂の山、作ったよね?
私の事りーって呼んでなかった?」
私が言い終わらない内に高橋は「すげー!」と目をキラキラさせた。予想以上の反応にびっくりしたけど私も高橋がまさか「けんちゃん」だなんて思ってなかったから少し嬉しかった。
―6年前…
「けんちゃん」と遊んだのは私がこの秘密の場所を発見してすぐの事だった。すごく素敵な場所を発見できた事が嬉しくて、夏休みは頻繁にこの海に来ていた。
でもある日、その秘密の場所に突然男の子が現れた。