海の景色が変わる頃には…
木のトンネルを抜けて国道に出るとけんちゃんがくるっと振り返りこっちを見て立ち止まった。
「お前さぁ…何があったか知らねーけど元気出せよ?伴奏の事ならみんないうほどきにしてねーし。また明日な!」
そう言って私の頭をくしゃっと撫でて自転車で帰って行った。
家に帰るとお母さんに怒られた。帰りが遅くて心配したらしい。夕飯を食べてスマホを見ると海にいた時間にお母さんから5件も着信が入っていた。
着信とは別に知らない番号からショートメールが届いていた。
「健太だよ!ちゃんと家着いた?由香から番号聞いた」
けんちゃんから突然のメールに驚いたけど純粋に嬉しかった。
次の日
放課後の合唱練習で、私はきちんと指揮者の凌を見て伴奏ができた。先生もニコニコ聞いていた。
「澤原さん!やればできるじゃない!完璧よ!本番もその調子でがんばってね!」
みんなの前で少し大げさに褒められて恥ずかしかったけどすごく嬉しかった。そして練習がスムーズに終わり、いつもより少し早めに解散になった。
「何だ。本当は超うまいんじゃん!」
皆がそれぞれ帰る中けんちゃんが私に話しかけてきた。
「でしょー!?でも本番まで1週間くらいしかないから残って練習していくつもり!」
「あ、そうなん?じゃ俺らも残るわ…な?」
けんちゃんはそう言って晃と由香の方を見た。
「あ!!いや、俺今日はひかりと約束があるんだわ。」
「そうそう、私も光樹と待ち合わせ!ごめんね!!」
「えー!!なんだよそれ!」けんちゃんが少し拗ねたように言うと「ごめんね」と2人は音楽室を出て行った。
「…まぁいっか。俺指揮するわ。1回やってみたかったんだよなー!」
そう言ってけんちゃんは笑うと指揮棒を振ってみせた。
2人しかいない音楽室に私のピアノの音が響く。指揮棒を振るけんちゃんはすごく得意気だったけど速さがバラバラで合わせづらい。
「ちょっとー!!速さバラバラじゃん!ちゃんとやってよー!!」
手を止めて私が文句を言うと「えー?そうかー?」とけんちゃんが口を尖らせた。
私は音楽準備室からメトロノームを持って来てけんちゃんの前に置いた。それに合わせて指揮をしてもらい練習を再開した。
…ガラガラガラ
音楽室のドアが開いてそこにいたのは凌だった。
「玉置じゃん。まだ帰ってねーの?」
けんちゃんが凌に話しかけた。
「え?あ、うん。生徒会あるし…ちょっと忘れ物取りに来たんだ。」
「練習?」
凌が忘れ物を取りながらけんちゃんと私を交互に見て聞いた。
「そうそう!自主練。エラいだろー。俺ら!」
「ははっ!メトロノーム見ながら指揮か!まぁ…初心者には必要だよね!じゃ、がんばってね!」
そう言って凌は音楽室を後にした。
「あ…ごめんね?メトロノーム…」
凌があまりにも嫌味っぽく言ったのでけんちゃんに申し訳なくなり謝った。
「やっぱ違うなー!本物の指揮者は!
俺コレが無いと無理だわ!」
そう言ってけんちゃんは
ニカっと笑った。
「お前さぁ…何があったか知らねーけど元気出せよ?伴奏の事ならみんないうほどきにしてねーし。また明日な!」
そう言って私の頭をくしゃっと撫でて自転車で帰って行った。
家に帰るとお母さんに怒られた。帰りが遅くて心配したらしい。夕飯を食べてスマホを見ると海にいた時間にお母さんから5件も着信が入っていた。
着信とは別に知らない番号からショートメールが届いていた。
「健太だよ!ちゃんと家着いた?由香から番号聞いた」
けんちゃんから突然のメールに驚いたけど純粋に嬉しかった。
次の日
放課後の合唱練習で、私はきちんと指揮者の凌を見て伴奏ができた。先生もニコニコ聞いていた。
「澤原さん!やればできるじゃない!完璧よ!本番もその調子でがんばってね!」
みんなの前で少し大げさに褒められて恥ずかしかったけどすごく嬉しかった。そして練習がスムーズに終わり、いつもより少し早めに解散になった。
「何だ。本当は超うまいんじゃん!」
皆がそれぞれ帰る中けんちゃんが私に話しかけてきた。
「でしょー!?でも本番まで1週間くらいしかないから残って練習していくつもり!」
「あ、そうなん?じゃ俺らも残るわ…な?」
けんちゃんはそう言って晃と由香の方を見た。
「あ!!いや、俺今日はひかりと約束があるんだわ。」
「そうそう、私も光樹と待ち合わせ!ごめんね!!」
「えー!!なんだよそれ!」けんちゃんが少し拗ねたように言うと「ごめんね」と2人は音楽室を出て行った。
「…まぁいっか。俺指揮するわ。1回やってみたかったんだよなー!」
そう言ってけんちゃんは笑うと指揮棒を振ってみせた。
2人しかいない音楽室に私のピアノの音が響く。指揮棒を振るけんちゃんはすごく得意気だったけど速さがバラバラで合わせづらい。
「ちょっとー!!速さバラバラじゃん!ちゃんとやってよー!!」
手を止めて私が文句を言うと「えー?そうかー?」とけんちゃんが口を尖らせた。
私は音楽準備室からメトロノームを持って来てけんちゃんの前に置いた。それに合わせて指揮をしてもらい練習を再開した。
…ガラガラガラ
音楽室のドアが開いてそこにいたのは凌だった。
「玉置じゃん。まだ帰ってねーの?」
けんちゃんが凌に話しかけた。
「え?あ、うん。生徒会あるし…ちょっと忘れ物取りに来たんだ。」
「練習?」
凌が忘れ物を取りながらけんちゃんと私を交互に見て聞いた。
「そうそう!自主練。エラいだろー。俺ら!」
「ははっ!メトロノーム見ながら指揮か!まぁ…初心者には必要だよね!じゃ、がんばってね!」
そう言って凌は音楽室を後にした。
「あ…ごめんね?メトロノーム…」
凌があまりにも嫌味っぽく言ったのでけんちゃんに申し訳なくなり謝った。
「やっぱ違うなー!本物の指揮者は!
俺コレが無いと無理だわ!」
そう言ってけんちゃんは
ニカっと笑った。