澪くんは私の事が知りたい
「音楽鑑賞が趣味ってアイドルの歌よく聴く?」


「そうだけど何で分かったの?」


「そのキーホルダー」


「え?キーホルダー?」






机の横に掛けていた私の鞄を指差し





「鞄に付けてる青いキーホルダー、それ兄貴のデビュー当時の限定グッズだろ」





ぎくり。
と、思わぬ質問にダラダラと冷や汗が流れる。





「よ、よく知ってるね澪くん?やっぱお兄さんのことが好きだからなのかなあ、あはは」


「そんな貴重なグッズ持ってんのって兄貴のファンしか居ないし、だからアイドルの歌よく聴くのかなって」





こ、この人どこまで勘が鋭いの。
勘の鋭い人がこれ程までに嫌だと思ったのは初めてだよ。





「あれ、でも兄貴はファンの子とは付き合わないって言ってたけど」


「あ、いや私ファンじゃ……」


「騙したんだ」


「騙してないから!だからその汚いものを見るような目やめて!何気傷つく!」





蔑むような白い目で見られ距離も置かれた私は心が痛みながらも「本当に違うからね!?」と何度も澪くんに抗議した。





「あー、合意の上で付き合ったのか」


「えっとそれも違うんだけど、素直に話すタイミング見逃しちゃったんだ」


「そういう事。ていうかやっぱ兄貴のファンなんだな」


「……」




また嵌められた……。




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