澪くんは私の事が知りたい
「なあ(いろは)よ私達に恋愛出来ないのは何が理由だと思う?」


「“私達”って私も含めちゃうんだ」


「いいから答えておくれ」



 まあまあ棘のある言葉に胸が刺さりながらも私は質問に答えた




「単純に理想が高いからだよ」


「やっぱりそれだよなあ!」




 彼女の名前は桃菜ワナ。
 胸まである黒髪ストレート、日焼けの知らない肌に血の(かよ)った(あか)い唇が異様に綺麗で彼女は世にいう美人と呼ばれる分類だ。
 そんな彼女と本当に毎日と言ってもいいほど(はず)みもしない恋愛トークをしているような気がする。



「だが!私は今日から高校二年生!この春、絶対に恋を掴んでやる!」



そう、始業式のこの日、私達は晴れて高校二年生となるのだ。
それのせいなのか横にいる彼女はいつにもなくテンションが高く、強く握っている拳からは彼女の気持ち全てが宿(やど)っているようだ。



「今年もワナとクラス一緒だといいなあ」
 


 クラスどんな人と一緒かな、担任は誰かな、何組になるのかな、そんな他愛もない会話に胸を(おど)らせながら学校に向かって行く。



「なあ二人とも北夕(ほくゆう)高の二年だよな」
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