澪くんは私の事が知りたい

突(とつ)として、私とワナを囲むように三つの人影が現れた。
　見ると制服を着た男三人が全身を舐め回すように私達を見ている。



「東晴(とうせい)高の生徒が私達に何の用？」


　そう彼らが着ているのは間違いなく東にある私立東晴高等学校(しりつとうせいこうとうがっこう)の制服だ
　私達の学校付近じゃ東晴高は、施設の設備も良く、部活は全国レベルで強く、偏差値はそこそこ高くて進学率もまあ高いと知られている有名高校。



「まじでこの子ら"四大美人"(しだいびじん)の内の二人じゃねえか」


｢だから言っただろ、そうだって。会えてラッキーだな｣


｢なあ俺達今からカラオケ行くんだけどよ一緒に行かね？金はこっちで全負担するから無料だぜ｣



　どうやら会話を聞いた感じ男三人は私達を知っているようだった。
　だが私達はこの男とは全く面識がない。
　なのに男の一人が肩組んできたりベタベタ触ったりしてきて、とにかくキモイ。



「あーあ私好みのイケメンだったらカラオケ代だけでも喜んでつられるのに」


「つまりはブスって言いたいんだね」


「大正解」


「おいお前ら調子乗るなよ」



　どうやら私達の会話内容がさぞかし気に食わなかったらしいのか男の顔が鬼のような形相(ぎょうそう)に変わっている。



「女だからって舐めてかかったら痛い目に合うぞ」


「そういうのいいからさ手離してくれない？」


「ワナちゃんは一回痛い目に合わさせた方がいいみたいだな〜」


「きも！気安く名前呼ぶなっ！」



　まさかの男一人に股間蹴り(こかんけり)をお見舞いしたワナ。
　さぞかし痛いのだろう、男は地面に手をつき体がプルプルと震えている。



「お、おい大丈夫かよ！」


「あっはは！ざまあみろってんだあ！」


「なっ、お前ふざけるなよ！！」



　激怒した男の一人がワナの髪の毛を手加減なく引っ張った。
　相当力が強かったのかワナの体制が髪を引っ張られている逆の方向へ崩れた為、髪が一層(いっそう)引っ張られる形になる。




「いっ.....」


「わ、ワナ！！」



　このままじゃワナが危ないと男の腕を掴んで引き離そうとしたその時だった。



「この手離しなよ」



　不意に届いた圧のかかった重々しい声と共に男の腕を掴んだゴツゴツした手が視界に飛び込んできた。