澪くんは私の事が知りたい
鋭すぎない切れ長の目、今にも光出しそうな色素の薄い瞳に吸い込まれるように目が逸らせない。
一見、顔が整いすぎて冷たさを感じさせるが穏やかさや爽やかな感じが手にとるようにも伝わってもくる。
「俺じゃなくワナとそこの女の子が絡まれてる」
「ワナ......?あー、久遠の知り合いなのか」
その色素の薄い瞳がワナの方へ向けられた
「ヤバイ、すっごい美形の騎士がいるんだけど」
髪を掴まれているのはそっちのけで、彼に釘付けになるワナ。
こんな状況でもイケメンにしか目が無いのはある意味尊敬するよ。
「いい加減離してくれないかな」
「お前の方こそ俺の腕を離せよ!い゛っ!!?」
と、久遠くんが男の腕をねじ上げた。
男の顔が痛みで歪んでいき、髪から手を離すと腕を抑えながら後ずさっていく。
「馬鹿力かよ......っ」
「はっ、そんくらいで情けねえな」
「ああ!?女に急所蹴られて蹲ってるお前よりはましだ!」
「うるせぇな!急だったんだから仕方ねえだろ!」
「おい二人共喧嘩はいいからよ、あの黒髪男の横にいる奴、見た事ねえか?」
「あぁ?言われてみればどこかで......って、あいつ九十九 蓮夜の弟じゃねえか!!」
「じゃ、じゃあこいつ北夕高に居るって言われてる弟の九十九 澪!?」
と、九十九 澪と呼ばれた男は特にそれといった反応もせず男達を見ていた。
九十九 蓮夜のお、弟って.....。
そんな私の視線を感じたのか九十九 澪が私の方へ目を向けた。
「うっそー!アイドルだけじゃなく色んな方面から活躍するあの有名な九十九 蓮夜の弟!?そりゃ顔面偏差値こんな高い訳だ!ね!彩!」
「え!あーうん」
「その反応、やっぱ彩でも驚いちゃうよね!」
この人が九十九 蓮夜の弟だってことは確かに驚いたけど、驚いた事とは別に思うことが......。
「ふーん、あんたら兄貴と同じ東晴高なんだ」
「いや、その、俺らこの女の子二人に用事があってもうその用事も済んだから......」
「に、逃げるのかよ」
「当たり前だろ!国民的アイドルの九十九蓮夜の弟なんて恐れ多くて手出しづらいわ!」
コソコソ話しているつもりなんだろうが丸っきり会話が聞こえてきて、ワナ、久遠くん、九十九澪を含め男達の会話に唖然とした。
「すいませんでした!!では!」
そうして男三人が何かに追われるように一目散に逃げていき、私達はそんな男らを追わずに見届けた。
九十九蓮夜の権力、恐ろしい……。