澪くんは私の事が知りたい
「まだ嘘つく?」


「認める、だからこの話は終わり!」


「俺あんたに聞きたい事あったんだけどな」


「澪くんの質問は絶対に聞かないから!」


「ふーん、じゃあ」




と、彼の色素の薄い柔らかい前髪が、私の肌に触れ、鼻が触れ合いそうな程の彼と私の距離に心臓が一瞬だけ飛び跳ねた。



「兄貴と付き合ってたことバラしちゃおっかな」



その台詞(せりふ)の内容は血の気が引くほど恐ろしいのに、艶々(つやつや)と肌触りの良い、優しい声で(ささや)かれ、頭がごちゃごちゃになった。
頬には熱が集まって、収まる気配が全くしない。



「え!彩!どこいくの!?あ、まって!」



私は九十九澪と関わっちゃいけない!!
そう本能で感じると自然に足が動いていた。
(しず)まりそうにない胸の鼓動と同時に警告音がずっと頭の中で響いている、
走っている最中、最後に見たあいつの品のない微笑みがずっと頭に浮かんでは消えなかった。




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