澪くんは私の事が知りたい


「うんうん、そうなんだ。.......え、えぇーー!?あの蓮夜くんと付き合ってたあ!?」



私の話にワナは驚きすぎで椅子からガタンッ!と勢いよく立ち上がった。
もうチラホラと何人か生徒が来ている中でもワナの声は一際(ひときわ)目立ち視線を浴びてしまう。



「しーーっ!声が大きいよ!」


「あ、ごめん、つい」



と、(とが)めると、ワナはすぐさま椅子に腰を下ろした。
まあ、ワナが驚くのも無理はない。
言った通り私は、あの日本人なら誰もが知り得る国民的アイドル、九十九 蓮夜と付き合っていたのだから。



「つ、つまり彩が急に走って行っちゃったのは、その蓮夜くんの弟がいて気まづかったと……」


「うん、そういうことなんだ」


「彩がそんな凄い人と付き合っていたなんて……」



衝撃すぎて何から言えばいいのやらと言葉が見つからず口を開けたまんまのワナ。



「ど、どっちから振ったの?」


「……私」


「ええ!なんで!あんなハイスペックな男の人日本中探し回ってもそうそう居ないよ!それに理想が高い彩にはピッタリじゃん!」


「うん、そうなんだけど」




蓮夜はワナが言った通り非の打ち所がないような本当に完璧な男の人だった。
何がいけなくて振ったの?っと質問されても、ここが嫌で振った、なんてのは考えた今ですら出てこない。
けれど━━━━━━




「何か違うって思ったんだよね」



そう、その"何か違う"から私は蓮夜の事を振った。
いつも付き合ってた人とは嫌な部分がハッキリ見えていたし言えていた。
けど蓮夜だけにはそれが見えず、ただハッキリしないその"何か"で振った事に私は(いま)だに蓮夜に罪悪感を感じている。




「あの蓮夜くんでさえダメなら彩が本気で好きと思える人なんて想像も出来ないよ。あー、私も蓮夜くんと付き合いたい人生だったわー」



「あはは……」




とその時だった


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