【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
「ああ、ありがとう」
綾木くんはシチューが大好物だった。だから喜んでもらえると思ったのに、先生の反応は浮かないものだった。違和感を覚えた時。
「――森下」
一瞬できた静寂を、先生が遮った。その声がいつもより強張っていることに気づき、わたしはそこでまともに先生を見る。先生の目は深刻で厳しくて。
「俺もちょうど森下に話があったんだ」
「話ですか?」
「お前、皇と付き合っているのか」
「え……?」
予想もしなかった言葉に、思わず間の抜けた声がこぼれた。頭が一瞬にして真っ白になる。
「今日、松尾先生から、学校で皇と森下が抱き合っているのを見かけたと報告を受けた」
「……っ、それは、」
階段下で抱きしめられた時、きっと見られてしまったのだろう。でも付き合っているなんて、そんなの誤解だ。