【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい

 けれど先生はこんこんと言葉を並べていく。大人が子どもに説教をする、まさにそのとおりの図だ。

「高校生の恋愛に首を突っ込む気はないし、恋愛するのはお前の勝手だが、場所と限度はわきまえなさい。他の先生方に見られれば変に誤解されるだけだ。気をつけろ」

 温度のない声で紡がれる言葉ひとつひとつが、鋭利な刃物になって心を容赦なく串刺しにしていく。空気をうまく吸えない。

 先生の瞳にもきっと温度はなくて、その瞳を見仰ぐ勇気はない。

 気づけば、うつむいたまま手の中の制服をぎゅっと握りしめていた。

「なんで……」

 こぼれたよれよれの声に、先生が反応する。

「森下?」
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