【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
なんで見つけちゃうんですか……先生。
静かに顔をあげれば、かがんだ先生がそこにいた。
先生は濡れていた。傘を持っているのに、ろくに差してこなかったのだろうか。走ってきたのか先生の肩は大きく揺れている。
「さっきは、悪かった。俺が無神経だった」
静寂を破ったのは、先生だった。
ぐっと込み上げてくるなにかをこらえ、わたしは口を開く。
先生を前にしたら、気持ちは一瞬で固まった。
嘘だと誤魔化そうともしていたけれど……むりだ。この人を好きな気持ちを偽ることも、なかったことにすることも、できるはずがなかった。
「さっきの言葉は取り消しません」
その声は、自分が思ったよりも芯がとおって響いた。
「好きなんです、先生のことが」