あなたの優しさは私しか知らない
どんどん その足音が 私に近づくのが分かった。

その足音は、私の前で止まり 私の隣に 躊躇いもなく、腰を下ろした。


大きな人だな。

私の隣の人の脇の下ぐらいの位置に
私の頭がある。

顔を上げるのが怖くて 私は俯いたまま。


「お前、東のモンじゃねぇな」

"彼"の声を聞いただけで、胸が
高鳴るのを覚えた。

低くて 美声な声。

その声が、私の脳内を支配している。
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