猛獣御曹司にお嫁入り~私、今にも食べられてしまいそうです~
「いやっ!」
私は身をすくめ、自然と背を丸める。身体を守ろうとするとこの形になるのだと、こんなときに理解する。
しかし、圧倒的な体格差で抱え上げられ、布団に押し付けられた。
「解放?そんなことしない」
三実さんが私を見下ろす。一匹の猛獣が私を食い殺そうと牙を剥いている。
「離してください!」
「離したら逃げるんだろう?」
答える前に唇が降ってきた。強引にされたキスは苦しいほどで、必死に顔をそむけようとしても上手くいかない。たっぷりと唇を蹂躙されても、私は拒否を続けた。
「三実さん、やめて!やだ!」
腕を振り回そうが脚をばたつかせようが、三実さんの身体はびくともしない。舌がべろりと首筋から鎖骨を這う。浴衣の襟を大きくくつろげられ、冷房の風に触れた素肌が粟立った。
「やめて!三実さん!」
「……どうやったらおまえに愛してもらえるんだ」
苦し気な声が聞こえ、私ははたと動きを止めた。
私の鎖骨付近に顔を埋めた三実さんが絞り出すように言う。
「やっと妻にしたのに。やっと俺のものになったのに。幾子が遠い。幾子に愛されたい」
愛されたい。その言葉は重たかった。
私は抵抗する腕を止めた。
この人は夫。だけど、私は一度だって彼に『愛』を伝えたことがない。
私は身をすくめ、自然と背を丸める。身体を守ろうとするとこの形になるのだと、こんなときに理解する。
しかし、圧倒的な体格差で抱え上げられ、布団に押し付けられた。
「解放?そんなことしない」
三実さんが私を見下ろす。一匹の猛獣が私を食い殺そうと牙を剥いている。
「離してください!」
「離したら逃げるんだろう?」
答える前に唇が降ってきた。強引にされたキスは苦しいほどで、必死に顔をそむけようとしても上手くいかない。たっぷりと唇を蹂躙されても、私は拒否を続けた。
「三実さん、やめて!やだ!」
腕を振り回そうが脚をばたつかせようが、三実さんの身体はびくともしない。舌がべろりと首筋から鎖骨を這う。浴衣の襟を大きくくつろげられ、冷房の風に触れた素肌が粟立った。
「やめて!三実さん!」
「……どうやったらおまえに愛してもらえるんだ」
苦し気な声が聞こえ、私ははたと動きを止めた。
私の鎖骨付近に顔を埋めた三実さんが絞り出すように言う。
「やっと妻にしたのに。やっと俺のものになったのに。幾子が遠い。幾子に愛されたい」
愛されたい。その言葉は重たかった。
私は抵抗する腕を止めた。
この人は夫。だけど、私は一度だって彼に『愛』を伝えたことがない。