猛獣御曹司にお嫁入り~私、今にも食べられてしまいそうです~
8.お断りします
くたびれた。そうとしか言えない。
昨夜はこのマンションにたどり着き、寒河江さんが包んでくれた夕食を真新しいダイニングテーブルで食べた。
このマンションが私たちの新居。わかるのはそれだけ。
あとは家の簡単な説明を受けたらすっかりくたびれてしまった。
『明日も会社だ。今日は休もう』
寝室には巨大なダブルベッドが堂々と鎮座していた。なかなかの迫力のそれは、三実さんが狭くなく使えて、私との距離も充分に取れる。
昨夜のことがまるで夢の出来事のよう。私と三実さんはそれぞれシャワーを浴び、ベッドの端と端で静かに休んだ。
三実さんは、おやすみのキスはおろか、私に一切触れてくることはなかった。
翌朝、朝の光を感じて目を開けると、目の前に三実さんがいた。カーテンからの薄い朝日を背負い、左肘を枕にして横向きになり、目を細め私を見つめている。
「み、つざねさん……」
「おはよう、幾子」
「おはようございます」
「可愛い寝顔だ」
三実さんはそう言って私の頰にかかる髪を指でどける。寝顔ならこの2ヶ月何度も見られていると思うんだけど、男女の仲になってからこうしてふたりで朝を迎えるのは初めてだと気づいた。
「やっとふたりきりだな」
そうだ。ふたり暮らしなのだから、食事もその他も家族やお手伝いさんが介入してくることはない。
昨夜はこのマンションにたどり着き、寒河江さんが包んでくれた夕食を真新しいダイニングテーブルで食べた。
このマンションが私たちの新居。わかるのはそれだけ。
あとは家の簡単な説明を受けたらすっかりくたびれてしまった。
『明日も会社だ。今日は休もう』
寝室には巨大なダブルベッドが堂々と鎮座していた。なかなかの迫力のそれは、三実さんが狭くなく使えて、私との距離も充分に取れる。
昨夜のことがまるで夢の出来事のよう。私と三実さんはそれぞれシャワーを浴び、ベッドの端と端で静かに休んだ。
三実さんは、おやすみのキスはおろか、私に一切触れてくることはなかった。
翌朝、朝の光を感じて目を開けると、目の前に三実さんがいた。カーテンからの薄い朝日を背負い、左肘を枕にして横向きになり、目を細め私を見つめている。
「み、つざねさん……」
「おはよう、幾子」
「おはようございます」
「可愛い寝顔だ」
三実さんはそう言って私の頰にかかる髪を指でどける。寝顔ならこの2ヶ月何度も見られていると思うんだけど、男女の仲になってからこうしてふたりで朝を迎えるのは初めてだと気づいた。
「やっとふたりきりだな」
そうだ。ふたり暮らしなのだから、食事もその他も家族やお手伝いさんが介入してくることはない。