キミの隣にいさせて。
♢the first song
紫の彼の甘い声
「今日もかっこいい...」
帰ってきてまず1番に開くのは、某動画投稿アプリ。
スマホから聞こえてくる甘い低音に、思わずため息が漏れた。
────歌い手。
もともとは、ボカロ曲の歌ってみた動画を投稿する人たちのことを指していたけれど、今やその活動は多種多様。
ゲーム実況をしたり配信をしたり、ライブをしたり、もちろん『歌ってみた』動画を投稿したり。
アイドルや歌手とは違うのは、その距離の近さ。
テレビでしか見れない人とは違って歌い手さんは、キャスと呼ばれる生放送をしてくれたりする。
その場その場で送ったコメントを拾ってくれたり、最近周りであった日常のことを話してくれたり。
とにかく距離が近くて、すぐそばで応援出来ているような気にさせてくれるのがこの、歌い手という存在だ。
私が歌い手さんを知ったのは、中学2年生の頃。
それからちょこちょこ動画を見たり曲を聞いたりして、少しずつ好きになっていった。
高校に入ってスマホを買ってもらってからは、よけいに歌い手好きに拍車がかかっている。
高2になってからは、スマホのアプリからキャスを聞けるようになって、Twitterで歌い手さんにリプを送れるようになって。
気付いたときにはもう、抜け出せれないほどに深く、歌い手さんの沼にハマっていた。
最近の私は、学校から帰って来てすぐに、歌い手さんの動画をあさってしまっている。
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