キミの隣にいさせて。
ぴろりん、と気の抜けたスマホの通知音に、宿題をやっていた手を止める。
すぐにスマホが気になっちゃうのは悪い癖だと思うけれど、どうしても治らない。
別にスマホ依存症、というわけではないと思うけど。
手帳型のスマホカバーを開いて、画面を覗く。
指紋認証でロックを外して通知の正体を確認すると、大好きな彼のツイートだった。
『今日22時くらいにちょっと喋ろうかな』
何も考えずとも、私の親指は勝手にいいねボタンに触れる。
1番にいいねすることは出来なかったけれど、まあしょうがない。
楽しみにしてます!と短く打って、誤字脱字チェック。
それから送信ボタンを押して、私はチラリと部屋の壁時計を見上げた。
19時前。
あと1時間で動画が投稿されて、あと3時間でキャスが始まる。
それまでに宿題終わらせなきゃ、と机に向き直ったところで、リビングの方からお母さんの声が聞こえてきた。
「美輝ーお風呂沸いたからもう入っちゃってー」
予定変更。急いでお風呂入って、それから宿題だ。
「はーい!」
大きめの声で返事をして、机の電気を消す。
私のお風呂は大抵30分。頑張って短くすれば20分。今日は15分で出てくることを目標に頑張ろう。
動画投稿までに、何とか宿題は終わらせたい。
キャスまでには、髪乾かして夜ご飯も済ませて、あとはしらんくんの声を聞くだけな状態を作りたい。
……私の毎日はしらんくんを中心に回ってるなぁ、なんて思って、何だかそれがか少しおかしかった。