聖なる夜の天使
一つ一つに目を輝かせる真琴の横顔を、巳冬は目に焼き付ける。真琴はきっと、どんな人よりも綺麗だ。心も、何もかも。

ベンチに座って二人は休憩することにした。巳冬は「コーヒー買ってくるよ」と言い真琴に笑いかける。

飲み物が売られている屋台に向かうと、かなりの長い列ができている。巳冬は後ろに並び、かじかんだ手に息を吹きかけた。

「あ、雪だ〜」

小さな子どもの声に、巳冬は顔を上げる。暗闇の中からふわりふわりと白い雪が待っていた。巳冬の嫌いな白だ。

巳冬の真っ白な手に、ふわりと雪が落ちる。一瞬にして雪は水に変わった。巳冬の雪のように白い手でも、温かい血は通っているのだ。

「白、か……」

不思議と、今日は白い雪を見ていても何も思わなかった。巳冬は理由を察して頰を赤く染める。

コーヒーを二つ買い、巳冬は早足で真琴のもとへ戻った。少し離れていただけなのだが、なぜか真琴の笑顔を見たくなる。

「コーヒー、買って来たよ!」
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