聖なる夜の天使
巳冬がそう言うと、真琴は「あたしの分も買ってきてくれたの?サンキュー!」と笑う。真琴は手袋を脱いで雪に触れていた。その冷たくなった手は、温かいコーヒーに触れる。

「ホワイトクリスマス!ロマンチックだね〜」

そうはしゃぐ真琴の隣に、巳冬は腰掛ける。真琴は、白いコートに赤いマフラーがよく似合っている。

白い色は巳冬にとって苦しい色のはずだった。でも、真琴が着ているととても美しく見える。それは、真琴のことが大好きだからだろう。まるで天使のようだ。

「今日はありがとう。真琴のおかげで寂しくなかった」

「嬉しい!あたしの方こそ、付き合ってくれてありがとう」

互いにお礼を言い、目の前で今も輝き続けるイルミネーションを見つめる。まるで光の王国だ。夜にだけ訪れる不思議の国ーーー。

「真琴は、僕のことをどう思ってる?」

巳冬が訊ねると、真琴の頬が赤く染まった。そして、真剣な顔で「好きだよ、ずっと」と言う。巳冬は泣きそうになるのを堪え、真琴を見つめた。
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