聖なる夜の天使
「いや、大丈夫。アンタは椅子に座ってて」

そう返され、巳冬は椅子に座る。キッチンからは真琴が素早く調理をする音が響いた。その音全てが心地よく、巳冬は目を閉じる。

「はい、お待たせ」

机の上に置かれたのは、ポテトとオニオンの塩オムレツだった。おいしそうな匂いが漂っている。

「ちゃんと朝ご飯は食べないとダメ!力が出ないよ?」

「あ、ありがとう。いただきます」

オムレツは、とてもおいしかった。巳冬は真琴の作る料理やお菓子が大好きだ。真心が誰よりも込められていて、とてもおいしい。どんなに食欲がなくても平らげてしまう。

「おいしかった、ごちそうさま」

巳冬が手を合わせると、真琴は「よかった」と無邪気に笑う。その顔にまた、巳冬はドキッと胸を高鳴らせた。



それから皿洗いをした後、巳冬は真琴に家から連れ出されていた。

「行きたいところ、色々あるから付き合ってよ!」

真琴はそう言って強引に巳冬の腕を掴んだ。しかし、そんな強引なところも巳冬は好きだ。真琴がいなければ、巳冬は一人だったかもしれないのだから。
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