聖なる夜の天使

コートとマフラーを身につけ、巳冬は真琴に手を引かれてクリスマスの街を歩く。クリスマスだからか、街中には昼間だというのに多くのカップルの姿があった。

「ここ！来てみたかったんだよね〜」

そう言い真琴が連れて来たのは、犬と触れ合えるカフェだった。テレビで紹介されたことがあるらしく、大勢の人が癒されに来ている。

「わんこと散歩できたりするんだって！」

そうはしゃぐ真琴に、「そうなんだ」と巳冬は微笑む。店内に入ると、たくさんの犬が一斉に二人を出迎えた。

「可愛い……」

尻尾を振るコーギーを巳冬は撫でる。犬は、人と違う。見た目が違うからといって差別をしたりしない。だから、巳冬は動物が好きだ。

「ねえねえ、この子もすっごく可愛いよ！」

真琴がしば犬の子犬を抱き上げ、笑う。その笑顔や犬に、巳冬は癒された。



カフェでお茶をしたり、レトロな美術館を見たり、巳冬は憂鬱だったはずのクリスマスを真琴と楽しんでいる。今は、スケートリンクで二人で滑っている。

「スケートって小学生以来だ〜」