極上パイロットが愛妻にご所望です
「っ! も、もうっ! ふい打ちなことするからですっ」

 確かに車に乗るところを思い返してみれば、誰が見ても通報レベルだったかもしれない。

 桜宮さんはひとしきり笑った後、口を開く。

「お前、可愛すぎ」

 まさか、彼の口からそんな言葉が出るとは思わず、一瞬固まって運転席へ視線を向けた。

「どうした?」

 チラリと私のほうへ見てから戻す。

「前から思っていましたが、桜宮さんって美的センスがずれていませんか?」

「美的センス……?」

 意味がわからないというように、軽く首を傾けている。

「はい。だって、私のこと可愛すぎって」

「は? 本当にそう思っているんだから、口にしてもいいだろ?」

 論点が違う気が……。

 でも、そう思っていてくれて、とても嬉しい私だ。

「桜宮さん、すぐに空港へ戻るんですか?」

 送るだけなんて寂しいと思う自分を心の中で笑う。比呂には帰ってすぐに寝たいと言ったのに。

「いや、できればまだ砂羽といたい」

「じゃあ……うちでコーヒーでも」

 なんの気なしに自宅に誘ってしまい、息を呑む。

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