極上パイロットが愛妻にご所望です
「砂羽、足に力が入らないだろ。ずっと小刻みに震えてるからな」

 どんどん奥へ向かい、ドアを開けたそこはバスルームだった。驚くことにシャワールームとバスタブが別々にある。

 シャワールームは一メートル四方以上あるガラス張り。出入口で下ろされた私はフラッと足をふらつかせ、腕を掴まれる。

「ここにバスタオルがあるから。で、ひとりで大丈夫? 俺が手伝ってもいいんだけど?」

 からかわれているのは充分承知している。けれど、慣れないことだけに、私は引きつった笑みを向けて頭を左右に振った。

 桜宮さんがドアの向こうに消えると、胸に手を置き、何度も深呼吸を繰り返す。

 これから起こることが、信じられない。

 半月前まで、彼に近づくことさえ叶わないと思っていた。

 大きな鏡に映る私の顔は高揚していて、目がキラキラ輝いている。

 大丈夫。私は桜宮さんに抱かれたい。

 たった一度の元カレとの時の痛みは尋常じゃなくて、話に聞く気持ちよさが自分に感じられるかなんて疑っていた。

 でも、全身が震えるほどの桜宮さんのキスは、元カレとは違っていた。

 彼の唇が触れた胸の先端部はまだ疼いており、気にしないようにしてワンピースを脱いだ。

< 127 / 276 >

この作品をシェア

pagetop