極上パイロットが愛妻にご所望です
 この仕事が終わると、また別の出発便のゲートへ。
 
 そして今日の業務終了時刻の十四時になり、事務所へ戻った私はOJTの報告書を書き終えて、更衣室へ向かった。
 
 この仕事は朝が早いが、十四時の退勤後は趣味やショッピングに使えて、時間に余裕がある。
 
 通常、四勤二休のローテーションとなっている。早番が二日間。翌日から遅番が二日間。そして二日間の休日。遅番は十三時から二十二時で、一時間の休憩が入る。

「はあ~」

 疲れてはいないが、仕事中は桜宮さんのことを考えないようにしていたせいで、職務から解放された今、ふいに彼の顔が脳裏によみがえり、無意識にため息を漏らしていた。

 いつも彼の姿を見かける程度だった。それが、振り返った桜宮さんと一メートル以内で目が合い、そして手を伸ばせば触れられるほどのところで、涼しげな眼差しを向けられた。

 どうなってるの……?

 考えても仕方がない。さてと、私も着替えよう。比呂ももうそろそろ来るはず。

 私服に着替え、制服をハンガーにかけているところに、比呂が戻ってきた。

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